河合寛次郎記念館@京都

2005/02/28
インテリア好きは這ってでも行くべし!河合寛次郎記念館。河合寛次郎は明治生まれの陶芸家で、骨太な作風が特色。入場料は900円と高い気がしますが、土間や囲炉裏、畳に床の間と、日本家屋の魅力がたっぷりなのと、展示される寛次郎の作品やコレクションがよく合って、居心地の良い空間になっています。ここでゆったりとコーヒー飲んだらおいしいだろうなあ。

河合寛次郎記念館内部

まず、細い廊下を歩くと、ガラスの陳列ケースが右手に見えます。寛次郎作の陶器や、彼が持っていたコレクションを観ることができます、寛次郎作の陶器は肉厚で、色彩は和の息のかかった力強く濃い色で、それを見ただけで、ある種のなつかしさや素朴さを感じ取れます。TBSがお正月に放送する向田邦子原作のドラマのセット、つまり昭和初期の香りがします。

母屋は吹き抜けになっていて、一階は土間と囲炉裏が、二階には居間と書斎があります。濃い色のフローリングと家具、照明は電球で、明治・昭和の家によく見られるなつかしい薄暗さがあります。彼の骨太な作風が、部屋のあちこちに感じることができます。

二階の居間は8畳間になっていて、「楽在具中」(楽しみはその中にあり)という掛け軸がかかっています。この文字が丸みを帯びて、しかも力強くていいですよ。レプリカでもいいから欲しくなりました。書斎には、手作りの木製の椅子が一対。がっしりとしたフォルムの中に腰を下ろすと、無垢の木の暖かさが伝わって、とても座り心地がいいんです。ここから吹き抜けを見下ろせます。

楽在其中@河合寛次郎記念館

寛次郎自身はウルトラ仕事人間で「人生のよろこびは、仕事を通して得られるものだ」という信念があったようです。明治生まれの気骨を感じさせる男ですよね。家の良さに感銘したものの、僕にはその信念を受け継ぐことができなさそうです。残念!

河合寛次郎記念館外観

この家は、寛次郎が日本各地の民家を参考にしながら、独自の構想をもとに設計したそうですが、居心地の良さは格別です。何でもそうですが、何かを極めると、最終的にはシンプルになる。家も、展示された作品やコレクション、いずれも素朴で力強く、それでいてモダン。こういう良さは時代を超えるものだと深くうなづきました。もし自分が一軒家をつくるとすれば、目指すゴールのひとつはこれだな、と思いました。


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東寺:京都・冬の特別公開

2005/02/20
京都観光協会のキャンペーンに乗せられるかのように、この日も冬の特別公開で拝観できる東寺へ出かけました。特別公開で見られたのは五重塔の内部と観智院。でも、特別公開って加藤茶の「ちょっとだけよ」的チラリズムみたいな感じがしてきました。

東寺五重塔

近鉄・東寺駅を降りて、五重塔を目指して歩くとすぐに着きます。周囲を突き放すかのような高い壁が左右に伸びていて、外からも東寺の広大さが印象に残ります。中に入っても、伽藍の大きさに驚きます。奈良のお寺みたいだ。京都のシンボルとも言える五重塔は高さ55メートル。講堂や金堂の大きさも、他の京都のお寺の標準よりはるかに大きい感じがします。

入口のそばに食堂(じきどう)があって、ここは拝観料なしでも行けます。この中には昭和初期の火災で焼けこげた四天王像が置かれていますが、表情こそ見えないものの、その迫力は伝わってきます。ここでは納経所があって、いろんな御朱印を書いてくれます。僕は弘法大師(お大師さま、と呼ばれてました)の御朱印をいただきました。ご朱印も場所によって様々ですが、ここのご朱印は経験豊かな方が筆を持たれていたためか、かなり立派でオススメです。

特別拝観つきの拝観料800円を払って、まずは講堂へ。知らずに入ったんですが、ここが東寺が世界遺産たる根拠ともいうべき、立体曼陀羅があるところなんですね。ビックリしたのは、国宝の仏像がこれでもかと並んでいたこと。21体のうち、なんと15体! 普通、そんなに一度にたくさんの国宝を見ることってないんですよ。東京にいたらわからない感覚ですね。しかも結構近くで拝見することができます。ここは、おそらくというか、間違いなく仏像好きにとっては聖地に違いない。またその国宝の仏像の男前なこと。穏やかな表情や、怒りの表情の迫力、均整の取れた肉体…圧倒されました。

隣の金堂に入ると、今度は立派な薬師如来が鎮座していました。左右には日光・月光菩薩が。これまた重要文化財なんですが、やはり講堂の迫力が印象に強く残っていて、もういっぱいいっぱいでした。

五重塔は、夜になるとライトアップされて鮮やかですが、昼は地味に立っています。ここは特別公開ゾーンということで、ガイドの学生さんが説明していました。中に入ると真っ暗。ガイドブックの写真では盛大にフラッシュを浴びて、金色の如来像が中心から四方に向いて座っていたり、カラフルな壁画が見えたりするんですが、中は真っ暗でした。特別公開とは言ってもちゃんとは見えないんですね。懐中電灯でかすかに心柱の蓮の絵を拝見するだけでした。まあでも、お正月以外は見られないものだということで、貴重な機会でした。

京都の寺建築の耐震構造については、以前にも感銘をうけましたが、今回は拝観料を支払ったときに受け取ったリーフレットに、断面の簡単な図面と説明書きがありました。これについては、日本一の高さをもつ五重塔にふさわしい案内でした。


特別公開になるとオープンするという観智院も見てきました。ここは客殿が安土桃山時代の武家風の書院建築で、建物自体が国宝になっているということです。そう考えると、うやうやしく入ってしまいます。人が通るとわざと音が鳴るように張られた、うぐいす張りの床板、シンプルな違い棚、柱の中央につけられた金具など、確かに歴史を感じるつくりでした。

ここのハイライトは、宮本武蔵が描いたという襖絵。2羽の鷹がうっすらと描かれた「鷹の図」と、節の部分が急激に太くなっている絵が描かれています。彼がサウスポーだったことを示す筆の跡が残っていました。確かに、右利きの人は二刀流できないだろうね。吉川英治の小説では、宮本武蔵が観智院にいたという記述はないということですが、史実としては、ここに3年間、身を隠していたということです。

昭和に完成したという枯山水の庭や、貴人口のあるお茶室、唐から渡ってきた五体の菩薩坐像もユニークです。特別公開はガイドさんつきなので、それほど丁寧に見られませんが、見応えはありました。

東寺を離れる前に、もう一度売店に寄って、曼陀羅が描かれた下敷きと、「東寺の謎」という文庫本を買いました。巨大な伽藍には国宝や重要文化財が詰まっていましたが、それにふさわしいだけの奥行きの深い歴史と文化があるようです。東寺では毎月21日に弘法市が開かれていますので、本を読んだ上で、もう一度来てみたいと思います。いやー、奥が深い。


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宝塚歌劇「エリザベート」@宝塚大劇場

2005/02/13
宝塚歌劇というと、
○熱狂的なファンが多くて○チケットが取れない○面白そうだけど見る機会がない、というのが、東京にいたときのイメージでした。

大阪に転勤して見に行きたいなあと思いつつ、チャンスがなかったのですが、チケット発売日に即完売となるほどの超人気演目「エリザベート」を見ることができました。

宝塚大劇場前

今回、見ることができたのは、「タカラヅカ・バレンタイン・スペシャル」というイベントのおかげで、男女ひとりずつのペアでないと見られないという仕掛けになっていました。関西では、宝塚歌劇は女性が観るものという考えが定着していて、普段は観客の大半が女性だそうです。宝塚としては、こういうイベントによって男性ファンの掘り起こしにつながれば、という狙いがありそうです。確かにチケット価格は2人で1枚分で、しかも公演プログラムつきと、かなりお得感がありました。

この日は、一公演に一度は観に行くという、宝塚ファンの知人と行きました。オペラグラスは必携品のようで、ポイントごとに貸してもらいました。感謝!

場所は宝塚歌劇の聖地とも言える宝塚大劇場。お土産コーナー、レストラン、喫茶店と、明治座や歌舞伎座と同じような観劇場所としての構成になっています。宝塚が他と違うのは、あこがれのトップスターと合成ツーショット写真が撮れたり、ステージ衣装を着て撮影ができるというフォトスタジオと、トップスターのブロマイド写真やポストカード、グッズが所狭しと並べられたグッズコーナー。ここに来る男性は少なかったですね。確かに、何を買えばいいのか、てんでわからない。

「エリザベート」は宝塚歌劇のキラーコンテンツとも言えるもので、約2ヶ月の公演期間があるにもかかわらず、発売日の午前中にほぼすべての席が完売になるというほどの人気ぶり。今回で5公演目、月組としては初めてなんだそうです。前後半合わせて約2時間半という超大作でしたが、飽きることなく観ることができました。NYブロードウェイのミュージカルに比べると、歌や踊りの精度はもう一歩というところですが、女性だけということでの舞台や衣装の華やかさ、セリフや歌がすべて日本語でわかりやすかったことが新鮮でした。加えて、劇が終わった後のショータイムや伝統のラインダンスなども、僕には新鮮でした。去年見た、里見光太朗ショーと構成が似ているなあと思いましたが...

印象に残ったのは、男役トップスターに集まる注目と、負担の大きさ。そのほかの役者さんとは演出のされ方が全然違う。それこそ松平健や里見光太朗と同じくらいのショーアップです。あれだけの量の歌と踊りを記憶して、ノーミスで一日二公演をこなすのはさぞかし大変だろう、と思います。周囲のプレッシャーも相当厳しいことでしょう。ただ、最も華やかな衣装を着て、ステージの中央に立ち、注目を集める快感も捨てがたいんでしょうね。

演劇そのものも面白かったんですが、この歌劇の裏方さんが、どういう仕組みで動いているのかを知りたくなりました。頻繁なセット変更や衣装チェンジなど、ブロードウェイよりもダイナミックでした。中でも、メイクと衣装と大道具は大変だろうな。残念だったのは、この日のTBSの「情熱大陸」で、この演出家のドキュメントを放送するのを知らなかったこと。気づいたときにはエンドロールが流れてました。いやあ、見たかった。

宝塚歌劇は、歌舞伎の対極にあるように思います。歌舞伎の役者がすべて男性で純和風なのに対して、宝塚は役者がすべて女性で、ミュージカル仕立て。舞台に出ている役者さんすべてがバレエの動きをマスターして、歌って踊れてみんなスリムで颯爽としています。だから女性はあこがれるんですね。かつてナンシー関が「日本人の嗜好を大きく2つに分けるとすれば、ヤンキーとファンシーだ」とコラムで書いていましたが、宝塚は明らかにファンシー系で、ロマンチスト女性の聖地。なかなか男性の立ち入る隙は少ないように感じました。



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阿含の星まつり@京都

2005/02/12
最初にお断りをしておきますが、僕は阿含宗の信者ではありません。
あれだけテレビや雑誌・ポスターなどで派手な宣伝を繰り返している阿含宗の一年最大のイベント(でも京都市観光協会のホームページには一言も触れられていません)、観光目的に行っても大丈夫そうだということで、興味本位で行ってみました。この宗教を信仰している人には申し訳ないんですが、ちょっとオカルトのにおいがして、薄気味悪い感じがしました。


京都駅に着くと、早速青いハッピを来た信者が、バス停の位置を示すプラカードを持って立っていました。バス停には臨時の京都市バスや京阪バスが出発を待っています。運賃は240円。清水寺を横目に見ながら、東山の反対側の斜面に、祭りの会場はありました。およそ20分ほどで到着。

バスを降りると、やはり青いハッピを着た、場内整理担当の信者が口々に「おかえりなさい!」と声をかけてきます。あの〜、僕はここに初めて来たんですけど...信者に対する指導はかなり行き渡っていて、青いハッピ、あるいは山伏のような衣装を着て、みなニコニコ微笑みながらと参拝客を誘導しています。

熱心な信者なのか、はたまた大量宣伝のおかげか、かなり多くの人がやってきていました。祭りのメイン会場までは結構長い登り坂ですが、足の不自由なお年寄りの方にはかなり難儀そう。坂の途中にはスピーカーが約50mおきに置かれていて、メイン会場のイベントの音声(お経や立ち回りなど)を流していました。

少し息切れしつつもメイン会場に到着。すると、大きなキャンプファイヤーが2つ並んでいます。信者や参拝者が書いたゴマキ、じゃなくて護摩木を盛大に燃やしていました。確かに炎の高さは3〜5メートルくらいはあって、迫力がありました。少し距離はありましたが、顔がほんのり暖かくなりました。そのキャンプファイヤーに向かって、競馬場の立ち席のようにスタンドがあって、両手を合わせている参拝客の姿が多数見られます。

阿含の星まつり1

正面奥には祭壇があって、「神仏両界護摩壇...」などと書かれていたように思います。パンフレットによると、この祭り会場は「神仏両界の聖地」なんだそうです。阿含宗は本来仏教教団だけど、神界とも深いつながりがあるんだそうです。んー、俄然怪しくなってきた。で、このお祭りでは神様と仏様、両方にお祈りをしているわけです。また、中央には教祖らしき人がオレンジの衣装を着てデンと座っていました。周りには若手信者が大きな赤い団扇を持って教祖を囲んでいます。


メイン会場のわきで、護摩木や熊手、さらにはプロテインなどの健康食品まで売っています。参拝客に対して、ニコニコと積極的に声をかけて(このへんも普通の寺社仏閣とは全く異なる感じがします)、セールスが行われています。しかし、なんで健康食品まで売っているんだろう。近くには賛同企業のリストがあって、三井住友銀行、電通などの大企業や、在阪および独立系ローカルテレビ局の名前がズラッと並んでいます。そりゃあれだけCMを出していれば、付き合い上、名前を出さなければいけないんだろうなあ。取材クルーもいましたよ。

メイン会場からさらに坂を上がると、お祭り広場という小さな舞台があって、そこで「走り大黒天」という神様にちなんだイベントをやっていました。そこでは「大黒ダンサーズ」(学生っぽい若者8名)が登場して「千客万来!商売繁盛!」と景気よく踊っていました。ただ、デパートの屋上でやるショーのようで、かなり安っぽい感じでした。

阿含の星まつり2

帰路につこうとバス乗り場に向かうと、場内整理の信者から今度は口々に「行ってらっしゃいませ」とにこやかに声をかけられました。なるほど、この祭り会場はふるさとですよ、という想定なわけですね。

星まつりは第32回ということですが、信者が熱心すぎてテンションが違うからなのか、それとも既存の宗教との違いに対する違和感なのか、新興宗教にありがちなうさんくささに満ちた感じがして、かなり居心地の悪さを覚えました。「京都に蠢く懲りない面々」という本を読んでから行ったせいもあるかもしれません。今度行くことがあるとすれば、京都市観光協会のホームページで紹介されるようになってからにしようと思います。 


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七草粥@城南宮

2005/02/11
今ごろ七草粥なんておかしくないか?と言うなかれ。一年にたった一日、2月11日にしか開かれないイベント…ということで、行ってみました。

城南宮は、京都市営地下鉄の終点・竹田が最寄り駅。駅を降り立つと、がらんとさみしく商店街もなく、人影もまばら。本当にイベントをやっているのか、心配になってきましたが、道にある案内の通りに歩いて15分ほどすると、近郊の町並みにぽつんと見えてきました。城南宮に着けば、ある程度の人が入っていました。ツアーバスが止める場所や駐車場が充実していました。

城南宮というお宮があることも全く知らなかったんですが、平安京ができたときに都の南を守るために建てられたとか、白川上皇が熊野詣でに出かけるときに身を清める場所だったというほどの歴史があるんです。境内を歩くと建物に統一感があって美しいんですが、それもそのはず、平安時代後期の様式に統一されているそうです。全体がしっかりと低く、渡り廊下が優美に見えます。

さて、そんな歴史のある城南宮ですが、この七草粥のイベントは10年ほど前から、源氏物語に登場する植物を研究する会の会員さんたちが始めたものです。そもそも七草粥とは、旧正月に食べられていたもので、これは七草のみずみずしい時と同じ時期だからだということです。

その七草粥、会場の入口で食券を購入(450円)したのちに、学校の食堂のようにひとりずつに渡されます。会場には、七草粥にちなんだ、地元住民のお囃子が流れていました。1コーラスが20秒程度で、何度も繰り返して流れるので、独特のフレーズ「テッテッテロロ」は聞いているうちに頭の中で必ずリフレインしますよ。

味はちょうどいい感じで塩分が入って、とてもおいしかったです。しかも細かくなった餅が底に入っているので腹持ちがよく、おかわりをしたくなるほどでした。そんな欲求を見越してか、会計では、おかゆのおみやげが二人前1000円で用意されていました。

このほかにも、源氏物語にちなんだ花や植物が並んだ「花の庭」が、拝観料400円で見ました。これは、芝が枯れて、ごく一部の枝垂れ梅を除いて、木々にほとんど花がついていませんでしたので、見どころ少なし、でした。春先ならいいんじゃないかと思います。

七草粥は、ちょうどダイエット中の体にもスッと入っていく感じがあって、非常においしくいただきました。こういう伝統を生かしたイベントは、続けていくうちに風物詩となっていいんじゃないかなあ。ただ、周辺環境がさみしい木がしますけど。


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