沙羅双樹の花を愛でる@妙心寺・東林院

2005/06/21
ふだんは拝観できないお寺が、年に一度だけ公開される。しかも、幻の花と言われる、沙羅双樹の花の開花時期に合わせて...これは行かねば!ということで行ってみました。良くも悪くも京都的な見せ方でした。沙羅双樹って何だっけ、と思いますが、平家物語に出てきた、あの「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす」という言葉が起点になっているはず。つまり移ろいやすいものの象徴として紹介されているわけですね。

入口で拝観料と抹茶・茶菓子代合わせて1575円を支払いました。その際に名前を言っておきます。すると、お抹茶が出てくるときに呼び出される仕掛けになっています。お抹茶と共に、沙羅双樹の花をイメージした和菓子が出てきます。こしあんでなかなかうまい。こういう限定感の演出がいいですね。床の間にも、沙羅双樹の花を模した和菓子が飾られていました。

お寺はそれほど広いわけではなく、庭と、それを見つめる3列ほどの団体客で混雑していました。庭の真ん中には沙羅双樹の木が立っていて、白い花を咲かせていました。幹はさるすべりのようにツルツルとして、花は白い夏椿。花の数が少ないので、散った花は地面の上に上向きに置かれています。茶花のようなささやかな印象。珍しいにしても、ちょっともったいぶりすぎではないかという気がしました。拝観料もちょっぴり高めだし、「うーん、どうでしょう」という感じでした。


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京都名庭を歩く(2)桂離宮

2005/06/20
日本の美が凝縮されているとまで言われる、桂離宮。雁行する書院、点在する茶室、きれいに刈り込まれた庭園などの全体の美しさに目を奪われますが、木の一本一本、飛び石の置き方、建具や樋に至るまで、ディテールも面白い。それでいて見た目はシンプル。あー深い、深すぎる!

桂離宮の参観(お寺ではないので、拝観とは言いません)は、すべてガイドさんがついています。
少し遅れて着いたので、第一のポイントまで駆け足で追いかけることになりました。ツアーは総勢20名程度。出発の前にビデオを見るそうですが、間に合わず。ガイドさんは簡単なスピーカーを持って説明します。

桂離宮

17世紀の初旬から中旬にかけてつくられ、日本最高の名園と言われていますが、確かに端正で美しい!しかも宮内庁が管理・運営しているだけあって、メンテナンスもよくできてます。庭師も、桂離宮が手入れできるとなれば、その能力を全力で発揮するのでしょう。庭園内の数箇所にかかる土橋(どばし)の形の美しさ、松の刈り込みは大きな盆栽のようです。

ほれぼれとしながら歩くと、まず最初の茶室、松琴亭が見えてきます。ここには、あの市松模様(チェッカー模様)のふすまがあります。当時、青は金よりも貴重な色だったそうですが、なんとも上品な色です。うっとりします。床の間の色も、これまた上品なこげ茶。

しばらく歩くと、今度は笑意軒。ここはパーツが美しいです。櫂や弓矢をモチーフにしたふすまの引き手や、金色とチェック柄の壁紙の大胆で美しい共存。昔のデザインの遊び心を感じます。

ディテールについての解説は、専門家におまかせするとして、全体としてはシンプルで控えめでありながら、幾何学的でモダンな美しさを堪能することができます。こういうのを見ると、今の日本のビル群や町並みの趣味の悪さ、騒々しさは、いったいどこから来たものかと嘆きたくなるほどです。

ここに来たある外国人が「where is the palace?」と言ったそうですが、大きくてダイナミックなものが好きな人には向かないかもしれません。でもこのシンプルな数寄屋造りの美しさ、庭園の美しさを見ると、先祖が残してきた文化水準の高さに敬意を払いたくなります。幾何学的な桂離宮が日本古来の魅力かというと、そうではないかもしれませんが、この整った美しさは一見の価値ありです。3ヶ月前からの予約が必要ですが、無理矢理休んででも、ぜひ一度観にいくことをお薦めします。



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幸福地蔵様にお願い@鈴虫寺

2005/06/19
お祈りをすれば、わらじを履いたお地蔵様が、ひとりにひとつだけ願いをかなえてくれるためにやってくる…という御利益感たっぷりのお寺に行きました。今、20代を中心に大人気で、ご利益を求めて、80段の石段いっぱいに人が並んでいました。

苔寺の拝観を終えて、桂離宮の集合時間まで1時間ほど時間があったので、時計とにらめっこしてハラハラしながらも、御利益にあやかりたい気持ちが圧勝して、列の最後尾に加わりました。待つこと10分。列が動き出しました。なんとか入れるようです。最も混雑する日だと、2時間待つこともあるそうです。

お寺へ向かうと入口の左手に、お地蔵様が立っていました。説法を聞き終えた参拝客が、お守りを手に、お地蔵様に向かって願掛けをしています。奥のお堂に入ると、正面に、幅1mほどのガラスケースが4,5個並んでいて、強烈な照明があたっています。鈴虫の鳴き声が部屋に強くリーンと響きます。

お部屋には100人を超える参拝客が入りました。普通のお寺と違って、客層が圧倒的に若くて、10代後半から20代が多いです。ひとりひとりに煎茶と「寿々むし」という和菓子が配られます。大部屋一杯に参拝客が座り終える前から、説法が始まりました。これが漫談のようで面白い。参拝客にツッコミを入れます。説法というより、願掛けの方法をわかりやすく説明するわけですが、お寺によくやってくる力士や女優さんの名前が出てきたり、ダメな願掛けの方法(他人の不幸を願うことなど)を具体的に言ってみたり。こうしてあっという間に30分がたちます。

終わると、黄色いお守りを買うためにに全員が殺到します。願いをかなえるための必須アイテムです。お守りには「幸福御守」と書いてあるわけですが、その「幸」の字のウラにお地蔵様の顔が入っているのだそうです。

御守を購入後、庭をぐるっと回って、お地蔵様の前で、説法で聞いた願掛けをします。きちんと住所を言わないと、お地蔵様はやってきてくれないそうです。このわかりやすさが、参拝客を増やす理由ではないかと思います。御利益があるかどうかは、自分の願いがかなうかどうかでわかるはず。さあ、どうなることやら。



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京都名庭を歩く(1)苔寺

2005/06/18
3ヶ月前から予約が必要で、苔寺は葉書で、桂離宮はホームページから予約をしました。京都の中心部からは離れているものの、この2箇所は比較的近い場所にあるので、苔寺は午後1時から、桂離宮は午後3時半からというパッケージにしました。今回はひとりではなく、東京から友人3名が合流。みんなかなりの京都通です。

阪急・嵐山線・松尾駅で下車。なんともローカルな空気に満ちています。苔寺に向かう前に、駅から徒歩10分ほどのところにある、桂川沿いの「川よし」で昼食。
http://www.ne.jp/asahi/kawa/yoshi/ryori/kashiwamizu.html

ここのかしわ水たきはおいしいという評判で、シーズンではないにもかかわらず、予約しておきました。プレハブのような建物で、なんだか大丈夫かなあ、と思ったら、これが違った。

鶏肉をふんだんに使った水たきは、さっぱりとして非常にうまい。材料の質がとてもよくて、鍋に入れて充分に時間がたつと身離れがよくなります。鶏ならではの香ばしさが部屋に満ちてきます。豆腐やねぎなどもおいしくて、一同、時と共に黙って一心不乱に鶏肉と格闘。今までに食べたどんな鶏鍋よりもうまかったです。昼からかなりの満腹になりました。これでひとり2500円!安すぎる。しかも、お店から苔寺まで無料で送ってくれました。


苔寺に着くと、観光客の意外な多さにびっくり。あれ、予約制じゃなかったの? と言いたくなるほど。団体旅行と、オセアニアから来た大学生の、これまた団体さんが来ていました。いろいろ入れると150人くらいはいたのではないかと思います。拝観料は3000円と結構なお値段ですが、やはりここは世界遺産ということで、入場制限をしてもやってくるんでしょうね。

お寺に入ると、自慢の庭を見る前に、まず本堂で般若心経の写経をしなくてはいけません。B4ほどの大きさの紙に、つらつらと写経。これが結構長くて、ちゃんと書くのに20分くらいはかかると思います。オセアニアの学生さんたちも、正座をして、私語は多いものの、トライしてました。ただ、僕の斜め前の席の足のニオイが強烈で、集中できませんでした。「おのれの足にもコケが生えとんのか」といいたくなりました。

写経が終わると、いよいよお庭へ。新書「京都名庭を歩く」によると、京都の美しい庭のルーツは、この苔寺にあるようです。入口を入ると、びっしりと苔が生えています。ただ、今年は空梅雨のせいか、きょうの天気が薄曇のせいか、ウェットで深い緑というよりは、初夏のまぶしい光を跳ね返すような元気な緑、という感じでした。この中におよそ120種類の苔があるわけですが、近づいてみると、ゴッホの筆のように荒々しいものや、たんこぶのように部分部分がもりあがっている個所、緻密にびっしりと生えているものなど、バラエティに富んでいます。少し目線を遠くすると、緑のじゅうたんが一面に広がる感じで、目にやさしい美しさでした。

苔寺

庭は、池の周りをめぐる回遊式と、枯山水の2種類があるということでしたが、枯山水は、いまひとつパッとしませんでした。でも美しかった〜。今度は秋の終わりのひんやりした頃に来て見たいと思いました。



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法隆寺へ行ってみた。

2005/06/08
世界最古の木造建築があって、日本初の世界遺産の指定を受けたお寺...にもかかわらず、具体的なビジュアルイメージがない...ということで、僕自身も転勤して一年近くたつというのに、行くのを後回しにしてました。確かに、パンチがない。でも、ここには国宝と重要文化財がゴロゴロ転がっているんです。すごすぎて感覚が麻痺しちゃうのかな?

法隆寺へは大阪からJR大和路快速で40分ほど。奈良からも少し離れていると思ったら、意外と近いもんです。ただし、法隆寺駅からがお寺まで遠い。徒歩20分。それは辛いのでレンタサイクルで行くことにしました。駅前の喫茶店で貸してくれて、3時間で200円。安い!

この日は、法隆寺の近くに住む友人と行ったわけですが、ママチャリで前かごがあるにもかかわらず、腕に鞄をかけたまま自転車を動かそうとしていました。「それってヘンじゃない?」と聞くと、「ヘンなのはアンタ」とツッコミ返されました。つまり、僕は前かごに鞄を入れていたんですが、「そんなところに入れたら、ひったくられるで」と注意されたのです。よくオバチャンたちがそうやってひったくられるのを見かけるというのです。このへんって、そんなに物騒なの?

自転車だと、法隆寺まで5分ほどで着きます。お寺の前には立派な参道があって、道沿いに立派な松並木があります。ただし、門前のお店は8軒ほどしかなく、ちょっとさみしい。拝観前にここでお昼を食す。食べたのは、奈良名物の茶がゆ。番茶を使うんですよ。味は奈良らしく素朴で力強い。しかもさっぱりしてました。お値段840円。

法隆寺の門前に着くと、修学旅行の高校生がわんさか出てきました。明らかに寺社仏閣に興味がなくて、私語べらべら。そう簡単に彼らの人生にはシンクロしないよな。なら他の観光客のために静かに立ち去ってほしいものだが。

世界最古の木造建築の金堂、その隣に日本最古の五重塔が建っています。派手さはないけど端正な美しさがありました。日本の木造建築は、中国のと違って、軒反りがゆるやかに出来ていて、それが端正な美しさにつながっているように見えます。この形を美しいと思って眺めている人は見回す限り数少なかったです。非常に残念ですね。(写真は2008年3月に後補)

法隆寺五重塔と金堂

法隆寺でもう一つ印象に残ったのは、仏像の表情と姿勢。飛鳥時代の仏像に特徴的な面長の顔立ちとアルカイックスマイル。それから、猫背に下腹を突き出したような姿勢、うっすらと脂肪がのったような体の線などが特徴的です。東寺や三十三間堂で見るかっこいい仏像とは、表情・体型が全然違います。観るものを緊張させない感じがいいですね。

法隆寺拝観には3時間近くかかりました。「見るところがない」と言っておきながら、結構かかるもんです。終わった後は、自転車で周囲を軽くサイクリング。寺の周囲には「西里の町並み」と呼ばれる、昔からの家並みがあったり、藤ノ木古墳があったりと、いろいろと見どころがありました。ただ、細い道の脇には深いどぶの溝が...結構ドキドキしました。

一度は行ってみるべきお寺ですが、「古い」という事実以外に、わかりやすくショウアップできる要素がないのが、このお寺の残念なところ。いいものたくさんあるのにね。お宝探しにでかける感覚で行くと、面白いかも知れません。



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