神戸・ハイカラの源泉@異人館

2006/04/29
神戸はよくハイカラなイメージで語られます。その源は明治時代に港からもたらされた物品と、そこに駐在した外国人がもたらした西洋文化。神戸でおいしいものといえば、ステーキやパン。港の近くにある洋風建築。そして異人館。異人館には、その当時の外国人の生活の名残が残っています。今回、短い時間のなかで、異人館をパパッと回ってみました。

三宮駅を出て、約10分ほど、北野坂を上がっていくと、「異人館」の入場券売り場が見えてきます。ここが異人館街のはじまり、というサインです。ここで売られている入場券、「9館で3200円」とか「5館で2000円」など。京都のお寺よりも高いような感じで、何か気が進みませんでしたので、とりあえず外観を見てから、決めることにしました。

少し歩くと、「国指定重要文化財・風見鶏の館」の文字が見えてきます。なに?異人館も重要文化財になっているのか!ということで、まずはこの「風見鶏の館」に入ることにしました。300円。この館は、もともとドイツの貿易商の住居だったところで、玄関ホール・居間・書斎などを見ることができます。高さ3.5mの天井、白い壁、濃い目の床。この3要素が、部屋を落ち着いた雰囲気にさせてくれます。外観は異人館では珍しくレンガ造りになっています。それにしても、なぜ重要文化財になったのか、ちょいとわかりませんでした。

さらに坂を上がると、小さなお城のようにも見える異人館「うろこの家」が見えてきます。ここの入場料はなんと1000円。高い! ここは外壁が魚のうろこのような形のスレートで覆われているために「うろこの家」と呼ばれています。ここには、ロイヤルコペンハーゲンやマイセンの皿、ガレのガラス工芸が飾られて、豪華なコレクションです。2階から神戸の町を見下ろしたときの景色は見事でした。ここに住むことのステータス感が理解できます。隣接の美術館の絵画も、マチスやユトリロの作品など、異人館らしくないほどに充実していました。

神戸異人館:うろこの家

夕方にちょこっと見に行った程度なので、すべての異人館を訪れることは時間的に無理でしたが、上記二つ以外の異人館に立ち寄る気がしませんでした。なんていうか、ちょっと安っぽい気がしました。

東京で暮らした者としては、神戸はどうしても横浜とキャラがかぶってしまいます。神戸と横浜の違いは、港が見渡せる丘陵地があること。異人館に行けば、横浜にはない眺めを楽しむことができます。当時のハイカラな感じを楽しむにはいいスポットですが、海外旅行全盛のいま、ほんまもんというよりは、ほんまもんのコピーを高い入場料で見る、というのは割に合わないように感じました。



このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

最後の桜を求めて:吉野・奥千本

2006/04/22
去年、満開時の吉野の桜を見て、非常に感動しました。その時は、人混みで上千本までしか登ることができず、奥千本はどうなっているのか、気になっていました。今年、桜の開花が後ろにずれ込んで、奥千本の開花が遅れていたので、この日が最良のタイミングではないかと思い、行ってみました。

奥千本への行き方は、ネット上でもあまり具体的に紹介されていません。ということで、ここに残しておくと、近鉄吉野駅を出てすぐのバス停から、中千本行きのバスに乗ります。運賃は350円。終点まで行って、そこからトイレ脇の階段を上った左手に「竹林院前」というバス停があります。そこが、奥千本行きのバス(400円)の停留所です。この奥千本行きのバスはマイクロバスで、キャパシティがあまりない。ということで長蛇の列ができていました。4台でピストン輸送していたので、30分程度の待ち時間で済みましたが、トイレが近い友人と行くときは、先に奥千本行きのバス停に並んでから、トイレに行かせた方が得策でしょう。奥千本までは、バスに乗ることで、時間短縮と体力が温存できました。というのは、結構勾配があって、バスなら15分程度で着きますが、歩けば1時間半はかかるからです。

奥千本のバス停からは、金峯神社・西行庵と、山道を歩きます。雨上がりで道は少しぬかるんでいました。桜のスポットは一番奥にある、西行庵の付近。ここの桜は、下千本・中千本に比べて、規模が小さいです。桜の木が数本程度。あまり咲き乱れている感じはなく、控えめです。が、森の中を歩くので、マイナスイオンたっぷり。このきれいな空気に触れるだけでも、行く価値がありました。 

歩き疲れた頃に、吉野葛からつくられたくずきりを食べました。水分神社近くの喫茶店でいただきましたが、他のくずきりよりも、ゼラチンがしっかりとして食べやすく、とてもおいしかったです。

ここから、上千本→中千本と進む道のりでは、アスファルトの道を歩きましたが、去年のトレッキングコースの方が、遙かに良かったです。景色が圧倒的に違いますから。今年は、余りにも物足りなかったので、水分神社の枝垂れ桜(見事!)と、竹林院のお庭(拝観料300円)を、ゆっくりと拝見してきました。奈良の名庭園と呼ばれるだけあって、端正な池泉回遊式庭園になっていました。

奥千本は、桜としては今ひとつですが、空気のおいしさは特筆ものです。中千本が見頃になった頃に、朝一番で奥千本まで上がり、ゆっくりとトレッキングしながら下りてくるのが、最も効率的な吉野山の堪能方法だと思いました。来年はこれを実践してみたいです。


※吉野へ向かう近鉄特急について
4両編成のうち、喫煙車両が2両もあるのはバランスが悪いですね。窓口で席を手配するときに、「喫煙車両なら空いています」と言われると、タバコ嫌いの自分としてはかなり腰が引けます。禁煙車両は満席なのに、喫煙車両は空いているのを見て、不快感が倍増しました。


このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

睡魔との闘い@国立文楽劇場

2006/04/15
大阪が本場の伝統芸能、文楽、もちろん無形重要文化財に指定されています。要するに、江戸時代から伝わる人形劇です。一度は行ってみたいと思っていましたが、なかなかきっかけがありませんでした。ちょうどこの日、雨まじりで冬のような寒さで、ちょうど4月公演をやっていることもあって、行ってみました。その面白さ、奥行きの深さはどういったところにあるのでしょうか?

国立文楽劇場は、地下鉄日本橋(にっぽんばし)駅からすぐのところにあります。このへんは東京の国立劇場よりもかなり便利。当日券(一等5800円)を買って入ると、おっちゃん、おばちゃん、海外からの観光客などで、ほぼ満席でした。人形劇のためのシアターなので、こぢんまりとした感じです。20列目くらいで最後尾といったところでしょうか。初めてなので、イヤホンガイドは必須。

この日の演目は(1)寿柱立万歳(2)ひらかな盛衰記(3)勧進帳、の三つ。(1)は「まんざい」と読むことからも推察できるように、いまの漫才の原型となったものです。太夫と才三という二人の男が、権力者(あるいはお金持ち)の家の繁栄を願って、言葉遊びをしながら掛け合いをします。ボケとツッコミという役割分担は、特にありませんでした。(2)は木曽義仲の遺族のその後を描いた狂言。ここで、三味線の鶴澤燕三の襲名披露がありました。文楽の世界では、親子で名前を継ぐのではなく、一門全員に認められた実力者が、前任者の名前を継ぐならわしなのだそうです。(3)は、能や歌舞伎で有名な演目。義経をかばう弁慶が、機転を利かせて関所を通過するお話です。ちょうど去年の今ごろ、歌舞伎の市川団十郎の勧進帳を見たのですが、人形も歌舞伎も、衣装の色・デザインが全く同じなんですね。

文楽では、人間よりも2まわりくらい小さい人形を、3人が呼吸をあわせて動かします。このうち最も動かすのがうまい人が、人形の表情と右手の動き、全体の動きを司り、お客さんにも顔が見えるようにして人形を操ります。残りの二人は黒子の衣装に身を包み、一人が両足と足音を出す担当、もう一人が左手と、メインの人形師の補佐をします。この3人で、人間が行うほぼすべてのアクションをすることができるそうです。すごいな、と思ったのは、悲しそうに背中が震え、ぐったりと首を傾けていく様が、表現されていたときのこと。まさに人間と同じ動きで、悲しさが伝わってきました。

人形が話すのではなく、舞台の上手(かみて)のお囃子方のナレーション兼セリフ廻しと、三味線を中心にした音楽が奏でられます。つまり音声は右耳から入ってくるのです。ユニークだと思ったのは、セリフを言った人が、その後のナレーションも続けて読むこと。例えば「『それはないだろ』と弁慶はつぶやいた」としゃべるとすれば、『それはないだろ』の部分と以降の部分が別々の人間が読むのではない、ということです。これはテレビ慣れしている僕には、少し違和感を感じました。昔ながらのスタイルということでしょうが、音声上はどうしても単調に聞こえてしまいます。

さて、16時スタートで、20時30分に終演。途中休憩が2度、計50分はあろうかと思います。客席の後ろ寄りで人形が小さく見えたことや、ナレーションの単調さ、ポワンと暖かい劇場、などが災いして、激しい睡魔に襲われる時間が長かったです。この闘いに勝つには、事前に何を見に行くか、確固たる視点をもつことや、好きな演目を選ぶこと、それからできるだけ前よりの座席で、人形の細やかな動きをじっと見つめること、などをしていかないと、ダメかなと思いました。

昔、言論や表現が統制されていた時代には、人形劇の表現によって、社会風刺や、人々の抑圧された感情を解き放つ役割があったのだろうな、と思います。歌舞伎には見られない大胆なアクションシーンなどもありますが、文楽を楽しむには、時代背景や、この芸能ならではの規制や表現の難しさを想像する力が必要だと思います。



このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

京都・桜めぐりで穴場を発見!

2006/04/09
今週末、京都は桜を見る観光客であふれかえっていました。黄砂があったものの(特に土曜日はひどかった!)、天気は晴れて、桜は満開、まさに見頃でした。しかし、中心街の道路は完全に身動きがとれず、タクシーはつかまらず、ホテルは空室ゼロ。ということで、哲学の道や円山公園といった、主要な桜スポットはラッシュアワーのような人込みだったようです。今回は、できるだけ人込みを避けながら、出来る限りの桜めぐりをしてみました。

☆醍醐寺(9日)
およそ400年前に、秀吉が「日本で最も美しい桜を集めて、ここで史上最大の花見をするぞ!」といって、西日本の桜の名木700本を強引に集めたのが、醍醐寺。それにちなんだ「豊太閤花見行列」が、9日に行われました。京都の中心からは離れているとは言え、すんごい人でした。このお寺には観光バスの駐車場があるので、ツアー客が多く、結果として客層も、(平気で苔を踏んでしまうような)マナーの悪い、がちゃがちゃしたオッサン・オバチャンが多く目につきました。

それでも、三宝院の入口前の枝垂れ桜は絶品! やんでいるとは思えないほどに花がこんもりと咲いていました。前のベンチに座り、しばし見とれていました。これ以外にも、ソメイヨシノや紅枝垂れなど、辺りは桜、桜、桜…美しいです。行列は、時代祭のプチバージョンのような感じで、当時花見に参加したであろう武将や、秀吉の正室・側室役が、当時の衣装(おそらく再現したものでしょう)を着て行進します。さすが、桃山時代の再現だけあって、衣装がどれも派手で光沢感のあるものばかりでした。

醍醐寺・枝垂桜

☆蹴上インクライン(日中限定)
地下鉄東西線・蹴上駅下車すぐの高台に、桜並木が見えます。ここは明治時代に、舟を運んだ線路が残っていて、その線路沿いに桜並木があります。観光客もそれなりにいますが、ここから哲学の道に向かう人が多いためか、それほど混み合ってはいませんでした。今は使われていない線路には、廃墟の味わいがあります。明治時代につくられた煉瓦の壁や突きあたりには琵琶湖疏水記念館があって、モダンでヨーロッパ的な風景に、日本の桜がとけ込んだ感じです。すばらしい。

☆四条天神川(日中限定) 
京都の和紙の老舗の女将さんに教えていただき、行ってみました。阪急・西院駅下車、改札近くのバス停から京都外大前へ(歩くと結構かかります)。南北に流れる天神川沿いに満開の桜が連なります。手を伸ばせば届くほどのところに桜の枝が伸びてきています。観光客は全くのゼロ。所々に地元の人たちがゴザを敷いている程度。もちろんライトアップはないので、日中限定。四条から南に向かって、阪急・西京極駅まで、桜のトンネルを楽しめます。京都らしいかと言われれば、うーん、というところですが、他に邪魔されることなく、思い切り桜を堪能できます。天気が良ければイチオシ。写真は2008年4月にフォロー

京都・天神川の桜1

☆円山公園(夜)
中心に枝垂れ桜がありますが、ここは夜のライトアップで見ることをオススメします(時間帯は遅めの方がいいかと思います)。照明が見事で、その姿は幻想的。たった一本の桜の木ですが、写真では伝えきれない美しさがあります。日中は観光客だらけで、コンディションが悪いのではないかと思います。

円山公園のしだれ桜

☆白川・木屋町(夜)
せせらぎに桜の枝がかかる、味わいのある桜並木。木屋町の桜はたわわですが、周囲がざわざわとして、車の通行が激しいのが難点。白川は、舞妓さんを連れて通りたくなります。ユキヤナギがあったり、枝垂れ桜と、ソメイヨシノと紅枝垂れがほどよいバランスであるところや、見た目がどこか幻想的で、派手すぎないのがすばらしいです。

明日の雨で散ってしまうのかと思うと、きわめて名残惜しいです。でもそのはかなさがいいのかもしれません。




このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る
  HOME