W杯観戦(1)準々決勝:ドイツvsアルゼンチン@ベルリン

2006/06/30
4年ぶりのワールドカップ観戦は、いきなりのプラチナカード、ドイツ対アルゼンチンです。日本を出発するときからワクワクしていました。個人の力ではアルゼンチンが勝るはずですが、地元のアドバンテージと勢いはドイツにあります。

ベルリンのオリンピックスタジアムは、決勝戦の試合会場でもあります。中心地からSバーンやUバーンで10分くらいと近く、本数も多くて便利です。ビール瓶を片手に、肩から大きな国旗を身にまとい、頬に国旗のペインティングをしたサポーターが大挙乗り込んできます。電車の中で応援合戦が始まります。ゴーウェストの歌に乗せて「ドイッチェランド!」と歌ったり、「アルヘンティナ!アルヘンティナ!」と連呼したり、どちらも負けじと大声を出します。人数的にはドイツが圧倒的です。電車に乗ってわかるのは、ドイツ人の体格が非常に大きいこと。ビール腹の大きさが違います。この日は涼しかったのに、少し混み合うだけでむせかえるような暑苦しさになりました。

大会前に指摘されていた、チケット券面の名義確認は行われず、念入りな手荷物検査とボディチェックが行われて、無事敷地に入ることができました。ビデオカメラは持ち込んでも問題ありませんでした。

まず立ち寄ったのは「Official Fan Shop」と書かれたお土産コーナー。ハンバーガーが3.5ユーロ、ソーセージ4ユーロ、試合の日付と対戦国の国旗のデザインがプリントされた特製Tシャツ20ユーロ、レプリカジャージ65ユーロなどなど。面白かったのは、ビールやソフトドリンクの料金で、容器代として1ユーロ余分に支払わなければなりません。例えばミネラルウォーターは一杯3ユーロですが、会計は4ユーロ。飲み終わった後、その容器を売店に戻しに行くと、1ユーロ戻ってきます。1ユーロは150円ですから、かなりいい値段です。

ちなみに、ドイツではスーパーでペットボトルを買うときに容器代を上乗せして支払います。空になってスーパーに持っていくと、容器代が戻ってきます。一部のスーパーでは、ペットボトルのバーコードを読みとって、容器代を計算する機械があって、そこからプリントアウトされた紙をレジに持っていくと精算してくれます。このシステムがあれば、確かにペットボトルをむやみに捨てることはなくなります。ホームレスが、瓶やペットボトルを大量に集めまくって、スーパーで換金する姿も見られました。

本題にもどり、試合開始1時間前に自分の座席につくと、フィットネス美女のダンスなど、ゲーム前のショーがあったり、ノリの良い音楽が流れて、気分を高揚させてくれます。20分前にはスタメンの発表。国によってリアクションが違います。ドイツの場合、ナレーターが選手の名前を半分読み上げると、続きをサポーターがシャウトします。例えば、ナレーターが「ナンバー13,ミヒャエル..」と言うと、続いてサポーターが「バラック!」と叫びます。アルゼンチンは水色と白の縦縞模様のマフラーや国旗を手にグルグルと回しながら、選手名が呼び終わると喝采していました。これだけで、会場はかなり盛り上がります。

続いて、国旗の入場、選手入場、国歌斉唱...と続きます。ワールドカップに来たことをホントに実感するセレモニーに、じわっときてしまいます。アルゼンチンの国歌は勇ましく、ドイツの国歌は威厳を感じました。観客の95%はドイツサポーター、5%はアルゼンチンサポーター。僕の席はアルゼンチン応援席にあって、当然のようにアルゼンチンを応援しました。

試合が始まって痛感したのは、ドイツサポーターのブーイングの大きさ。少しでもドイツに不利な判定があると、指笛の音がスタジアムにこだまして、耳が割れそうになります。これでは判定がドイツ寄りになってしまいます。試合は後半5分にアルゼンチンがアジャラのヘッドで先制しましたが、ドイツは後半35分にクローゼのヘッドで追いつきました。同点のまま、延長でも決着がつかず、PK戦にもつれこみ、アルゼンチンは4−2でドイツに敗れました。アルゼンチンは司令塔のリケルメが後半30分で交代してしまい、GKも怪我で控えに交代、注目の若きストライカー、メッシが登場することなく敗れたのは、間の悪い采配と不運が重なった結果でした。同点に追いついたドイツの粘りと気迫もすごかったですね。

試合が終わって、街に戻ると、町中でクラクションが鳴り、オープンカーに乗っている人たちは箱乗りで国旗を掲げて喜びを表します。これが決勝トーナメントで勝つことの醍醐味です。このあからさまなほどの喜びの表現は深夜まで続きます。特に開催国の場合はセレブレーションの規模が桁外れです。応援歌や「ドイッチェレンド!」コールが至るところで響き合います。このテンションの高さは、さすがに当該国でないとついていけませんでした。

ドイツに着いてまだ2日目ということで、少し時差もあって、試合後はそそくさとホテルに帰り、寝てしまいました。窓の外ではウォウォという声が響いていました。


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ワールドカップ観戦の旅へ〜準備編

2006/06/28
ドイツワールドカップはベスト8に絞り込まれました。大会としてはこれからが佳境!という、このタイミングで決勝までの5試合を観戦する予定です。まもなく出発しますが、その前に1年以上かけての仕込みを報告しましょう。

チケットは、まだ出場国が決まっていない10ヶ月前の段階で、オフィシャルサイトでTST(予選リーグから決勝トーナメントまでの通し券)が発売されました。発売のタイミングは、何のアナウンスメントもなく突然、ということで、よほどストーカー的に張り込みでもしていない限り、わかりません。今回は、海外サッカーの観戦仲間・Yさんから、突然「今、オフィシャルサイトで売ってるよ!」と連絡をいただきました。Yさんには2年前にポルトガルで行われたヨーロッパ選手権で、スリにあって一文無しとなったときに、緊急融資した間柄なのです。ワールドカップ開催1年前のタイミングで声を掛けていたのが功を奏しました。

Yさんの連絡を受けて、パソコンのある場所へ急行。早速、オフィシャルサイトを開きました。さすがに世界中で情報がわっと出ている状況では、サイトに入りにくいことこの上ありません。当然、日本やイングランド、イタリア、オランダはあっという間に完売間近。このままの状態で無駄に時間をすごせば、すべて売れてしまう。そこで、TSTを買う経済力が一番乏しい実力国…アルゼンチンに目をつけました。急ぎ、自分のパスポート番号とクレジットカード番号を入力すると、なんとかギリギリのタイミングで購入できたのです。TSTー7を買えば、決勝までのチケットが確保できたことになります。ここが非常に大きな一歩でした。

12月に組み合わせ抽選が行われ、アルゼンチンはオランダ、セルビア・モンテネグロ、コートジボワールと同じC組に入りました。と同時に、スケジュールが発表されました。TSTー7は、予選から決勝トーナメントまで、ある国の試合をすべて見られる、予選や決勝Tで敗退した場合にはその対戦国の試合を見に行けるチケットですが、1ヶ月の大会期間フルで見に行くことができます。これはバカンス型のヨーロッパ人向けのチケットです。日本のサラリーマンとしては、2度の土日+連続5営業日の休みを確保するのが最大限です。しかし、ワールドカップのチケットが取れたと言えば、それ以上の休みをなんとか取得することはできるのではないかと甘えた期待を抱きながら、準々決勝以降を見に行こうと心に誓いました。

続いて飛行機を予約します。東京との往復をほぼすべて飛行機にして、こまめに稼いでいたマイレージが、ちょうどヨーロッパ往復分にまでたまっていました。それでも決勝戦の翌日出発のフランクフルト発東京行きは予約が一杯でした。準々決勝直前のフランクフルト行きもキャンセル待ち。どちらも取れないと、飛行機代がもろにかかってしまいます。非常にナーバスな状況でした。4月になってようやく行きの予約が取れました。帰りはフランクフルトに近い都市から、日付指定で帰ることにしました。

5月になると試合のチケットが届きます。TSTー7の名青は予選リーグ3試合と、決勝トーナメントのチケット引換券(バウチャー)が入っています。見に行けない予選リーグ3試合の券は、ネットオークションの相場で知人に譲りました。このとき、死のC組であることが幸いし、1試合当たりの料金が非常に高くなりました。特にオランダ戦は非常にいい料金でさばけました。(続く)


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「肉林」な一週間

2006/06/01
関西の食文化は、肉を抜きに語ることはできません。上質な肉を味わう悦楽…歯ごたえ、香り、食後の何とも言えない充足感、まさに「生きてて良かった〜」とため息をつきたくなる瞬間があります。関西を代表するような肉の旨い店3軒を1週間でハシゴするという、なんとも贅沢な体験ができました。まさに酒池肉林の「肉林」な日々でした。

関西で「肉」というと、それは自動的に牛肉のことを指します。肉まんのことを「豚まん」と呼びますし、親子丼の鶏肉が牛肉に代わったもののことを「他人丼」と言って、たいていのそば屋にメニューの一つとして入っています。なぜここまで牛が普遍的なのか? 本当の理由はわかりませんが、確かに神戸牛、但馬牛、近江牛、松坂牛と、関西圏を取り囲むかのようにおいしい牛肉の産地があるわけです。

日本の食文化において最も洗練された都市は、おそらく京都ではないかと思いますが、この街には「肉割烹」というジャンルを掲げる店があります。もちろん、ここでいう「肉」とは牛肉のことです。

1)てら参
四条河原町から東南に5分ほど歩いたところに、ある肉割烹の店です。会社の後輩が予約してくれました。頼んだのはコースメニュー。まず出てきたのは4種の生肉。肉にネギを乗せて、にんにくパウダーをまぶして食べたり、タレとカラシをつけたり。肉の本当のうまさを味わうには前者の方がいいような気がします。とろーんとした食感で、刺身の醍醐味が味わえます。焼肉も出てきました。上バラとロースのネギ巻き。後者はレア気味に焼かれたロースとネギのハーモニーが最高。塩加減がちょうど良くて、忘れられない味でした。煮込み肉もとろけます。一緒に出てきた白米との相性は最高! 一品ごとに「旨い〜」と感動の一息。店内は静かでゆったりと会話ができます。1人7500円弱でした。

2)安参
「てら参」の兄貴分にあたるお店です。四条通の北、花見小路の東にあります。店をガラッと開けると、ワイワイガヤガヤとして立ち飲み屋のような雰囲気。4人未満の場合は予約を取れないので、いきなり行って混雑具合を確認するしかありません。午後8時過ぎに伺いましたが、ちょうど席が空いてカウンター席に座れました。メニューはなく、何を食べたいかをざっくりと伝えます。「<生>と<焼>両方ください!」そう言うと、順番に出てきました。食べ終わった皿をカウンターに置くと、次の皿が出てきます。ここは、おいしい食べ方をお店の方が指導してくれますが、少し気難しい空気が流れていて、下手なことを聞きづらい感じ。でも、味はさすが!生も焼(ハラミがうまかった!)も、普通では食べられないうまさで、一口入れるごとに天を仰ぎ、「んー、うまいっ」。こちらはひとり1万円ポッキリ。


肉割烹の翌々日、今度は知人のオススメで、創業約120年という大阪・日本橋の鯨料理の老舗に行きました。あのエリアはおいしい老舗が多いんです。

3)西玉水
石橋湛山首相がポケットマネーで来た事がある、というエピソードが残っているほど、昔からの名店だということです。「さえずり」(舌のこと)の食感がすごくて、歯ごたえはほとんどないのにコクがあるんです。これはトロよりもすごいんじゃないかと、うなりました。米茄子の蟹野菜あんかけもうまい。さらに、なんといっても、このお店の代名詞的なメニュー「ハリハリ鍋」! 鯨と水菜を鍋で一緒に炊いたものですが、これが前代未聞の旨さです。さっぱりした関西らしい味の頂点とも言える味でした。今となっては入手困難な、大型のメスのナガスクジラを食べることができるのだそうで、素材も調理方法も超一流です。ここに行けば、「捕鯨禁止」なんて絶対に言えなくなります。ここでも「旨い…」と天を仰ぎ、のど元を過ぎるのを惜しみつつ、味わいました。ちなみに、ここもメニューに料金が載っていません。恐る恐る会計しましたが、ひとり12500円でした。この味なら全く惜しくないです。


以上3軒、いずれも店構えは割烹スタイルですが、中は肉料理。素材の良さを最大限に生かした料理は日本料理と通ずるものがあります。昔から継承されてきた伝統なのでしょう。関西の食文化の奥深さを、とくと味わう1週間でした。


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