「平安王朝料理」を食す@京都「六盛」

2008/10/18
およそ1200年前の平安時代に、貴族はどのようなものを食べていたのか? 文献を頼りに、およそ5年かけて研究し、可能な限り再現した料理「創作平安王朝料理」を、明治32年創業の老舗「六盛」でいただきました。いったいどういう料理が出てくるのでしょうか?

褥(しとね)


食事の前に「六盛」三代目の堀場弘之さんのお話をうかがいました(今回は、伝統未来塾の授業として、体験させていただきました)。

・平安時代の料理について記載された文献は、とても少ない。というのは、当時「グルメは卑しい」という考え方が行き渡っていたため。
・再現したのは「大饗」(だいきょう)=王朝の正餐。当時の貴族は年に一度か二度、この正餐を味わっていた。
・料理は素材を大切にしたシンプルな料理。京料理の源流と言えるのではないか。
・お米と魚貝が中心。貴族の威厳を示すため、野菜はあまり使われない。野菜を煮炊きするようになったのは、室町時代以降。
・当時の料理には調味料がない。酢・酒・塩・醤(ひしお)の四種の調味料=四種器(よぐさもの)を、自分で貝(=スプーン)を使って調整する。
・食材は2ヶ月かけて用意する。当時は鶴も食べていたらしい。料理は1週間前から始めていた。
・メインディッシュは、最初に登場するお米。「御物」(おもの)と呼ばれていた。そのまわりに並べていただく料理を「あわせ」と呼んでいたが、数が多いほどごちそうだったので「かずもの」とも呼ばれるようになって、それが後々に「おかず」に変化した。
・料理は横1m、縦60cmの台板の上に載せられる。一人当たりのスペースが広い。
・席には「褥」(しとね:小さな正方形の薄畳)が置かれている(冒頭の写真)

さて、いよいよ「実食!」です。お部屋に入ると、当時の食事の状況を再現するために、薄暗い照明になっていました。そして、自分の席には、独特の盛りつけをした料理が並んでいました。

○一進:「祝菜」(ほがいな)
まずは全体図。右手前が四種器といわれる調味料。お酒はにごり酒です。ここで使われたお箸とスプーンは、当時と同じ純銀製でした。これが結構重い。朝鮮半島の影響なのでしょうか?
創作平安王朝料理(1)祝菜


もうちょっと料理に寄ってみましょう。いきなりメインディッシュです。真ん中の円柱上のお米が強烈です。直径・高さともに10cm弱くらいありました。最初に中央下の皿「蘇」(そ)をいただきます。乳を煮詰めたもので、味としてはチーズに近い感じでした。
創作平安王朝料理(1)祝菜2


料理の説明はこちら。
創作平安王朝料理(1)祝菜の説明


○二進:「羹」(あつもの):汁物
鱧とまつたけです。これは現代的ですね。
創作平安王朝料理(2)羹(あつもの)


○三進:「割鮮」(かっせん):刺身
鯛。醤油が欲しい!頼めば持ってきてくれますが、ここは王朝気分優先でいきます。
創作平安王朝料理(2)割鮮1


いかの磯巻き。
創作平安王朝料理(3)割鮮2


○四進:炙(あぶりもの):平安時代は素焼きが中心だったそうです。
甘鯛の塩焼き。
創作平安王朝料理(4)調菜


○五進:調菜(ちょうさい):野菜や乾物が中心。魚貝が加えられるのは室町以降だそうです
まつたけのおひたし。しまった!写真撮るのを忘れた!

○六進:挙物(あげもの)
天ぷら。これは、平安時代にはない料理です。
創作平安王朝料理(6)挙物(あげもの)


○七進:窪坏物(くぼつきもの):生ものを細かく切って、酢で洗う程度。
もずく。
創作平安王朝料理(7)窪坏物(くぼつきもの)


○八進:姫飯(ひめいい)
赤米のぶぶづけ。赤米は当時とほぼ同じ。おめでたい色だと考えられていました。
創作平安王朝料理(8)姫飯(ひめいい)


○九進:木菓子(きがし):くだもの=果実。
創作平安王朝料理(9)木菓子(きがし)


○十進:唐菓子(からがし):揚げ菓子
クッキーのような感じ。中心が少しジメッとして、甘い。
創作平安王朝料理(10)唐菓子(からがし)


すべて食べ終わると、お腹が膨れて動けなくなりました。最初のお米をたくさん食べたのがいけなかったかもしれません。

全体を通しての感想としては、やはり平安時代の料理は素朴、ということです。火のコントロールも不自由だし、冷蔵庫のない時代だから、食材のフレッシュさも違うだろうし、グルメが贅沢だというのもわかるというものです。とすると、調理技術が発展する前の料理を再現しながら、「おいしい」と感じさせるための努力は大変ですよね。とにかく、貴重な体験をさせていただきました。
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