水中綱引き@福井・美浜

2009/01/18
寒い寒い日本海に裸で飛び込み、その水中で綱引きをするという、想像しただけでも震えてしまう伝統行事「水中綱引き」が福井県美浜町で行われます。とても雪がよく降る季節ですが、天気予報は曇りで、気温は平年より高め...途中で帰れなくなる心配もなさそうなので、日帰りで実際に見てみることにしました。

水中綱引きは、1635年に若狭湾と日向湖を結ぶ運河が完成した記念と、その年の豊漁を祈って行われたのがはじまりです。毎年旧暦1月15日に、地元の若者たちが海上安全と豊漁を祈願した後、日向橋の欄干から飛び込み、綱が切れるまで引き合います。今では1月第三日曜日に行われています。

この行事が行われる、福井県美浜町日向(ひるが)へは、JR小浜線美浜駅からコミュニティバスに乗って、およそ30分の場所にあります。小浜線は1時間に1本、コミュニティバスは1日に4〜5本という便数の少なさですので、観光協会のホームページなどで下調べをして、午後2時の開始に間に合うように向かいました。大阪からは敦賀行きの10時15分発の新快速に揺られること2時間、さらに小浜線に乗り換えて美浜まで20分...現地に着いたのは、午後1時30分過ぎでした。

水中綱引き会場


現場には、大漁旗が万国旗のようにひらめき、その周囲はすべて観客で埋め尽くされていました。近くのテントでは、地元の人たちによる出店が運営されていて、うどん100円、焼き魚200円、ブリ汁100円という感動の低料金で観客をもてなしてくれます。これが普通のお祭りに出てくる露店よりも全然おいしいのです。

橋のたもとに見物場所を確保して、行事が始まるのを待ちます。午後2時すぎ、赤い鉢巻に白いパンツ一丁の男たちがバラバラと現れ、橋から飛び込んでいきます。高さ5mはあると思われます。水しぶきが盛大にあがります。

水中綱引き:飛び込み1


男たちが飛び込むたびに、キャーッという悲鳴のような歓声があがります。飛び込んだ男たちは「冷てぇ〜」と言いながら、綱のある場所まで泳いでいきます。しかし、準備運動とか、どうしてるのかな?

水中綱引き:飛び込み2


男たちは綱がつながれた両岸に集まります。はっきりとした開始の合図がないまま、両岸で男たちがもみ合います。ん?綱引き?

水中綱引き1


水中綱引き2


どうも、この綱引きは一般的な引き合いではなく、両岸の綱を断ち切る早さを競うもののようです。説明アナウンスやパンフレットがあるわけでもないので、見ながらルールを想像するしかありません。

水中綱引きの「綱」


綱の太さはおよそ30cmということですが、これを本当に手で切っていたら、とんでもなく時間がかかり、参加者の健康問題にもなってしまうので、切れやすいように細くしてある部分があるのだそうです。それでも男たちが何人も束になって、掛け声をかけながら、綱を引っ張っていました。水の中にあると、綱は堅くなっていくはずだから、大変でしょう。

始まってから10分弱、綱が切れました。早かった方の岸が勝ちどきをあげるわけでもなく、静かにその場を離れていきます。ほどなく両岸の綱が切れました。

水中綱引き3


男たちは、綱をもって引き揚げていきます。すると、観客もスルスルといなくなっていきました。身を切るような寒さの中でのイベントのためでしょうか、始まりも終わりもあっけない感じがしました。参加者と観客の間に暗黙の了解があるような感じもしました。

もう少し余韻を楽しみたかったのですが、美浜駅に向かうコミュニティバスの出発時間が迫っていたので、急いで帰路につきました。もう少し時間があったら、地元のお土産とかもゆっくり見られたのに、残念でした。なにせ、次のコミュニティバスは3時間後なのです...

これだけいろんなものが便利になった現代で、なんでこんな合理的でないイベントをやるのか、と不思議に思うヒトがいるかもしれません。でも、こういう伝統行事は、続けることに意味があるのだと思います。この行事によってコミュニティが育まれたり、当時の人たちの生活、文化、風習を感じることができる。その土地の文化が残る。グローバリゼーションが進む時代だからこそ大切にしてほしいと思うのでした。
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